大正琴とバイオリンの比較
大正琴の各部の名称
大正琴の各部の名称
No 名称 はたらき

糸巻き棒/糸巻き穴 弦を巻きつける棒で、弦の先端を通す糸巻き穴があいています。

糸巻き 右上の第1弦糸巻きから左回りに、第2弦、3弦、4弦、5弦糸巻きと呼びます。糸巻きを回すと糸巻き棒が連動し、弦をしめたりゆるめたりします。
天板 音階ボタンとその動きにかかわる大正琴の最も重要な部分で、響鳴胴と裏側3箇所の金具で取り付けてあります。
ボリュームコントロール※ 付属の接続コードでアンプ(別売り)などに接続した際、アンプから出る音量を調節することができます。(最小1〜最大10)
磁気マイク※ 弦の振動を電気信号に変えるところです。
ピックカード ビックがあたって響鳴胴に傷が付くのを防ぎます。薄い保護シートをはがしてご使用ください。
ハンドプレート 演奏の際右手首を乗せる場所です。
テールピース 弦の輪になっている方を引っかけるフックが付いています。向こう側から順に第1弦、2弦、3弦、4弦、そして第5弦用です。
下駒 右側にある弦を乗せる場所です。調整ができるように響鳴胴には固定されていません。
向こう側から順に、第1弦、2弦、3弦、4弦、5弦(補助弦)と呼びます。
マイク出力ジャック※
マイクからの信号が出力され、付属の接続コードでアンプ(別売り)などと接続します。
響鳴穴 響鳴胴で大きくなった音を放出する穴です。
トーンコントロール※ 付属の接続コードでアンプ(別売り)などに接続した際、アンプから出る音質を調整することができます。(軟らかい音色1〜硬い音色10)
音階ボタン 弾く音の音程(音の高さ)を決めるボタンです。数字と点と白・黒(♯)により識別します。
響鳴胴 弦の振動を響鳴させて、音を大きくする大正琴の本体です。
上駒 左側にある弦を乗せる場所です。響鳴胴に固定されていて、開放弦の音程を決めています。
※マイク内蔵大正琴のみです。また機種により取り付け位置、形状が異なります。
大正琴に時代を超えた名器は生まれるか
バイオリンには100年以上前に作られ、今なお素晴らしい音色を奏でる名器と呼ばれる機種がありますが、大正琴にはこうした機種は存在するのでしょうか。 答えは残念ながら「いいえ」です。メーカーによっては「一生もの」という表現で高額な大正琴を販売している例を見かけますが、大正琴の構造を理解していないか、無責任なセールストークといわざるをえません。
琴伝流の大正琴を製造している日本バイオリン研究所は、その名の通りバイオリンメーカーとしてスタートしました。名器の生まれるバイオリン製造を経て大正琴メーカーになった当社だからこそ、大正琴の弱点にも目をそらさず、それを補う工夫で大正琴の魅力を高めてきたのです。
それでは、大正琴にバイオリンのような時代を超えた名器が生まれない理由を、大正琴とバイオリンの構造を比較して説明します。
正面と横から見た様子
大正琴(正面)
ヴァイオリン(正面)
大正琴(横面)
ヴァイオリン(横面)
ポイント《1》ネック(フレット)と共鳴胴の位置関係
大正琴とバイオリンの音作りに決定的な違いは、音を響かせる共鳴胴と音階を作るネック(フレット)の位置関係です。
バイオリンは、音を響かせる共鳴胴の僅かな面積に、堅い楓材などで作られたネックが取り付けられ、更に共鳴胴の表板裏板の両方にアーチ状の膨らみをつけることにより、弦の張力に負けない強度と響きのある音の両立を図っています。
一方、大正琴は共鳴胴とネック(フレット)部分が完全に一体化されています。響きを決める共鳴胴により多くのものが付いているということは、音色の点において大正琴がバイオリンより不利であることを表し、更に直線のフレットが共鳴胴に貼りついているので、弦の張力の方向にバイオリンのような共鳴胴の膨らみを付けることができず、歪みにも弱くなります。
ポイント《2》弦の押さえ方
弦を金属でしっかり挟み込むことで正確な音階が出る
弦を金属でしっかり挟み込むことで正確な音階が出る
大正琴は、弦の張力や歪みに弱いこと以外に、数十年使い続けられないもう一つ大きな理由に、弦を押さえる仕組みの違いがあります。
バイオリンは大正琴と同じ金属の弦を使っていますが、指で弦を押さえるため弦や指版の摩耗が最小限に抑えられます。
一方、大正琴は弦をキー板(ボタンの下に付いている金属の板)で押さえる上、正確な音階を作るために指板にフレットがあるため、弦は金属で挟み込まれることとなります。このためフレットやキー板が徐々に摩耗し、ボタンを押さえたときに全ての弦を均一に押さえられなくなってしまいます。
こうしてすり減ったキー板は、天板と一緒に交換することが可能ですが、指板は共鳴胴に貼りついているため交換ができず、何十年も使い続けることが難しくなります。
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