琴伝流では大正琴の歴史研究にも力を入れており、琴伝流本社の展示室「大正100年館~大正琴ものがたり~」には、発明当初から今日に至るまでの様々な大正琴が展示されています。
こうした取り組みが大正琴愛好者以外にも少しずつ認知されて、このたび古い大正琴をご寄贈いただきました。
メーカーラベルが剥がれて残っていないため詳細は分かりませんが、大正時代半ば頃に作られたと思われるこの桐の大正琴は、天板に梅に鶯の絵が描かれ、音階ボタンの数字がひとつひとつ刻印されているなど丁寧な作りとなっています。
柔らかい桐材は糸巻きの鉄芯が動きやすく音が狂うため当時はあまり大正琴に使われていませんでした。
その部分に鉄板が貼りつける工夫までして桐を使ったのは、音にこだわった柔らかい音色の大正琴を作りたかったのではと想像します。
古い大正琴は骨董品としての価値がそれほどないことから多くが処分されてしまいなかなか見つけることができません。
実家から古い大正琴が出てきたといった際はぜひご一報ください。
なお、戦前の大正琴のおよその見分け方は次のとおりです。
①糸巻きが鉄芯
②弦(糸巻き)の数が2本
③下駒が竹または木製
ご寄贈いただいた大正琴(弦は現代のものに張替えられています)