新型コロナウイルスとよく比較される約100年前のスペイン風邪に大正琴の歴史と重ねると、大正7年から8年にかけてスペイン風邪の流行と大正琴ブームのピークが重なります。
当時もマスク着用や人々の集まりの回避が呼びかけられ、家で過ごす時間が長くなりました。唱歌や流行歌が次々に生まれて音楽がより身近になった一方で、蓄音機やラジオの普及前で家で音楽を楽しむ術のない時代に、一人で手軽に楽しめる安価な大正琴は「巣ごもりの友」としてとても適した楽器だったと言えます。
こうした琴伝流の考察が「大正琴の日」の9月9日に中日新聞で紹介されました。
大正琴が一人で弾く楽器だった100年前には追い風だった疫病が、大勢で弾く楽器に進化した今日は仲間との活動が制限され向かい風となっても、文化として根付いた大正琴はこのコロナ禍を乗り越え進化を続けることでしょう。
(中日新聞・長野県版R3.9.9)